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ポルシェの世界販売台数と所得格差

車の市場と世界経済

2016. 10. 06.

2016. 10. 06.

車の市場と世界経済

ポルシェの世界販売台数と所得格差先月、発表されていたドイツの高級スポーツカーメーカー、ポルシェの2015年通期の決算から見えるもの。

発表によると、新型SUVの『マカン』などの低価格ラインナップの恩恵が大きく、売上高は過去最高の約2兆7122億円。前年比から25%増加している。また、営業利益は34億ユーロ(約4290億円)と前年の27億ユーロから25%増え、過去最高の営業利益を記録したというのだから、さすがはポルシェブランドだ、というほかない。
内容を見ていくと利益率が非常に高いのがわかる。この利益率25%の伸びと、各国の市場を見ることで、世界市場の内訳もわかってくる。

まず、2015年の世界新車販売は22万5121台と、こちらも過去最高を達成している。前年実績に対して19%増と新たな購買層が、新興国で伸びていることが予想される。車種別で見ると、新型SUVの『マカン』の人気が高く8万台以上を販売。続いて『カイエン』が7万3119台となっている。これは、売上の3分の2をSUVで稼いだということになる。残りはケイマン、ボクスターとパナメーラが占めた。

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結果、本家本元の911はほとんど販売台数を稼いでいないことになる。ポルシェは高級スポーツカーメーカーのはずが、どういうことだろうか?おそらく、911の値上げが影響していると考えられる。昔は1000万円ちょっとで買えたポルシェ911カレラが今では1300万円と大幅に値上げしている。しかし、売上に大きく影響していないところを見ると、良さが分かる人へ訴求し、購入につなげ利益率を上げていくというスタンスはひとまずは成功と言ったところだろうか。ちなみに、ボクスターSのオプション仕様が昔のカレラ911の価格帯の印象である。

1990年前半から高級スポーツカー911が売れずに、手ごろな価格帯の非馬力な206馬力の2シーター、オープンカーのボクスターを1996年に出すことで会社を救った経緯から、ピュアスポーツを追求しブランドイメージを作りながらも、稼ぎ頭は別の車種で稼ぐブランド戦略は正しかったと言えるが、スペシャルな911シリーズの中でもスペシャルサーキット仕様のポルシェGT3にマニュアルがなくなったのは非常に残念である。スポーツカーメーカーとしてはぜひ次回はマニュアル仕様も出して欲しい。911が稼ぎ頭でなく、スペシャルカーにはスペシャルなスポーツマインドがあることで、ドライバーへのセグメントがかけられるだろう。F1やGTなどプロ世界でコンマ何秒を争うサーキット場の世界と一般道をメインで走る車の在り方や考え方はあくまで別次元だ。

今回、新型車両の918スパイダーがドイツのニュルブルクリンクで、量産市販車の最速の記録を更新したのもそのパフォーマンスの高さを実証し、更なるブランド力を作りあげたのだから、そこにはブランドイメージが作りだすサーキットでのスペシャルなイメージを一般道に展開する販売展開がうまく合致している。

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2015年は、全ての販売地域で2桁の成長を達成とのことで、世界中の格差とアジアの市場の拡大がはっきり見てとれる。2014年からみる日本国内での所得格差も過去最高になり、デフレ基調にある平均賃金は394万円ほどになっている。

単一国の販売台数は米国を抜いて中国が世界一となった。2015年の中国の販売数は、前年比24%増の5万8009台、これまで世界一の市場を死守してきた米国新車販売は、初の5万台超えとなる5万1756台で前年比から10.1%増と伸びたが、中国の販売数には届かなかった。地元ドイツは、21%増の2万8953台を売り上げた。人口比率の問題でなく、中国がアメリカ市場を抜いたというのがすごく衝撃的だ。中国などを含めたアジアでは、スポーツカー911を走らせるのはつらい道路事情が多々あるのだが、中国ではSUVが売れたのだ。日本に目を向けても走らせにくい事情は多い、オリンピックに向けて首都高速道路など、前回のオリンピックで作られた道路の修復も含めて早く進めなければ継ぎ接ぎだらけの道路を世界に見せることになる。この際なので、大幅な道路交通関係の法の改正もやってもらいたいものだ。

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ヨーロッパの道路を走っていると思わせる第2東名がドイツのアウトバーンの代替えになるかと期待したが、一般的な速度制限の規制も入り、日本でもこのままスポーツカーを走らせる環境が整わないと、車の技術面や馬力がどんなに上がっても、実際にドライブを楽しめる環境が少ないため、魅力のない道路事情と技術革新の間に大きなギャップが生まれるだけになってしまう。ヨーロッパでは当たり前に感じられる車に乗る楽しさを、日本ではドライブを楽しむ環境が整えられていないように感じられるのが非常に残念なことだ。
総合的な結果、若い世代に対して運転する機会が失われ、車本来の魅力が伝わりにくい環境をどうにかしなければならない。スポーツカーに乗ってみたいと思わせるタイミングさえないのは問題と言わざるを得ない。

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