
6月17日第86回ル・マン24時間耐久レースが終了した。
TOYOTA GAZOO Racingのセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組8号車トヨタTS050ハイブリッドが388周を走りきり悲願の優勝を飾った。トヨタは20回目の挑戦にして初めての優勝で、日本メーカーとしてはマツダが1991年に優勝して以来となる。さらに、日本車に日本人ドライバーが乗り込んでの優勝は史上初となった。
遡れば、1985年にトムスの手によりトヨタ童夢85Cがル・マンに初挑戦し、86年からはトヨタ・チーム・トムスとして参戦し、その後1994年、1998〜99年のTS020、そして2012年からはハイブリッド搭載車で続けられてきたトヨタのル・マン24時間レースの挑戦。これまで準優勝は何度か獲得してきたが、とうとう“未勝利”の歴史に終止符が打たれたことになる。
今回、昨年まで連覇していたポルシェが撤退したことで、ハイブリッドを搭載したメーカーワークスのマシンがトヨタのみとなったLMP1クラスで、正直戦力差はライバルに対し余裕がある状態ではあった。しかし24時間の戦いで何が起こるか分からないのがこのル・マンである。
過去の経験に学び、どんなトラブルが出ても完走できるだけのタフさを身につけたことが、確実に勝利を手繰り寄せたと言えよう。
途中、スタートから6時間ほどで中嶋一貴の8号車と小林可夢偉の7号車が均衡した対決が見られたものの、終盤には7号車をドライブしていたホセ-マリア・ロペスがダンロップコーナーでスピンを喫するなどのアクシデントで8号車が優勢に。
8号車トヨタは、残り2時間22分で最後のドライバーをアロンソから中嶋一貴に交代。一方、7号車はロペスから可夢偉に交代し、チェッカーに向け周回を重ねていった。そして現地時間15時、2台はタンデムを組み、デイトナフィニッシュでチェッカー。メインストレートでアロンソとブエミを乗せた中嶋は、恒例のウイニングランを終える。
優勝は8号車で、12年からの挑戦以来プロジェクトを支え続けた中嶋が、念願の初勝利をポール・トゥ・ウインで飾る結果に。また、世界三大レース制覇を目指すアロンソは、これでF1モナコグランプリとル・マン24時間制覇の二冠を成し遂げた。
1960年代に4連覇したフォード以来の量産型で「庶民派ブランド」といえるトヨタがプレミアムブランドを抑えての優勝を果たしたことになるが、単独ブランドとしては世界でもっとも販売台数の多い『トヨタ』がどのようにブランディングに影響してくるのかは、先例が少なくその効果は予想しづらいだろう。
しかし、トヨタはTS050ハイブリッドの公道版といえる「GRスーパースポーツ」の開発を発表している点では、そのマシン単体でのブランディングにおいては、順調に事が進んでいくのではないだろうか。